仮想通貨の仕訳例概要
仮想通貨に関する会計については、実務対応報告第38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取り扱い」が企業会計基準委員会から公表されたのが2018年3月なので、また2年も経っておらず、過去簿記を勉強してきていた人達も、キャッチアップ出来ていない可能性があるのかなと思っています。
そこで、実務での会計処理と、有価証券報告書の読み取り等、様々な面で役立てていただくために、仮想通貨会計についての仕訳例をザックリと紹介したいと思います。
利用者の金銭の預け入れ&引き出し
証券会社等が利用者の金銭の預け入れと引き出しを行る場合等になります。
(利用者側の処理)
振込時→(預け金)×××/(現金預金)×××
引き出し時→(現金預金)×××/(預け金)×××
(業者側の処理)
振込時→(現金預金)×××/(仮受金)×××
照合完了時点→
(仮受金)×××/(利用者からの預かり金)×××
出金時点→(利用者からの預かり金)×××/(現預金)×××
利用者の仮想通貨の入金
仮想通貨の入金について、仮想通貨業者と利用者が合意した時の取引です。
(利用者側の処理)
送金時→(仮勘定(送金中仮想通貨))×××/(仮想通貨)×××
入金確認通知の受領時→(預け仮想通貨)×××/(仮勘定(送金中仮想通貨))×××
(業者側の処理)
入金情報を把握した時点→
(仮想通貨)×××/(仮勘定(確認中の利用者からの預かり仮想通貨))×××
入金確認時点→
(仮勘定(確認中の利用者からの預かり仮想通貨))×××/(利用者からの預かり仮想通貨)×××
利用者の仮想通貨の出金
仮想通貨の出金について、仮想通貨業者と利用者が合意した時の取引です。
(利用者の会計処理)
引き出し申請時点→仕訳無し
出金完了通知の受領時→(仮想通貨)×××/(預け仮想通貨)×××
(業者側の処理)
出金情報を送信→
(仮勘定(確認中の利用者へ送金中の預かり仮想通貨))×××/(仮想通貨)×××
出金確認時点→
(利用者からの預かり仮想通貨)×××/(仮勘定(確認中の利用者からの預かり仮想通貨))×××
利用者同士の仮想通貨の取引
利用者同士は、仮想通貨の取引所で取引をするのが普通です。仮想通貨の業者は、取引にかかる委託手数料の受領だけの処理になります。
(利用者側の処理)
取引成立時点→(預け仮想通貨)×××/(預け金(法定通貨))×××
逆側の利用者→((預け金)法定通貨)×××/(預け仮想通貨)×××
取引の関する委託手数料→(支払い委託手数料)×××/(預け金(法定通貨))×××
(業者側の処理)
約定時点→(利用者からの預り金(法定通貨))×××/(受取委託手数料)×××
利用者と仮想通貨交換業者との相対取引
利用者と業者が直接仮想通貨のやり取りをする際の会計処理は以下のとおりです。
(利用者側の処理)
利用者の購入取引の成立時→
(預け仮想通貨)×××/(預け金(法定通貨)×××
(支払取引手数料)×××/(預け金(法定通貨))×××
(業者側の処理)
業者の売却取引の成立時→
(利用者からの預り金(法定通貨))×××/(利用者からの預かり仮想通貨)×××
(利用者からの預り金(法定通貨))×××/(受取取引手数料)×××
売却益の計上→
(現預金(自己の保有法定通貨・取引価格))×××/(仮想通貨(自己の保有仮想通貨・帳簿価額)①)×××
(仮想通貨(利用者分の仮想通貨・取引価格)②)×××/(現預金(利用者分の法定通貨(取引価格)))×××
/(仮想通貨売買損益(②>①の場合))×××
期末残高の処理
保有する仮想通貨が、活発な市場で取引されている場合には、その市場価格で期末残高を評価し、貸借対照表価額とする必要があります。帳簿と市場価額の差額は、損益処理です。
活発な市場が存在しないならば、帳簿価額をそのまま貸借対照表価額とし、処分見込み価額が取得原価を下回るようであれば、減損処理しなければなりません。
(自己保有の処理)
市場価額が帳簿価額を上回っている場合→
(仮想通貨)×××/(仮想通貨評価益)×××
市場価額が帳簿価額を下回っている場合→
(仮想通貨評価損)×××/(仮想通貨)×××
市場が存在せず、減損が必要な場合→
(仮想通貨減損損失)×××/(仮想通貨)×××
(利用者からの預かり分)
市場価額が帳簿価額を上回っている場合→
(仮想通貨)×××/(利用者からの預かり仮想通貨)×××
市場価額が帳簿価額を下回っている場合→
(利用者からの預かり仮想通貨)×××/(仮想通貨)×××
市場が存在せず、減損が必要な場合→
(利用者からの預かり仮想通貨)×××/(仮想通貨)×××
まとめ
仕訳例を示すつもりが、かなり汚くなってしまいました;すいません……。仮想通貨の場合、業者の存在を視野にいれて処理を考えなければならないのが、少々厄介ですね。参考になれば幸いです。